文具クリエイターの阿部ダイキです。
僕が「読書管理しおりワタシ文庫」を作った経緯や開発段階の苦労話などを徒然と書いてきたいと思います。
普通の文房具メーカーは開発段階の秘話や失敗談なんて公開しないと思うけど、Beahouseは普通の文房具メーカーじゃないんでこういう試みも面白いかなと思います^^;
僕が「読書管理しおり ワタシ文庫」を思いついたきっかけは僕が読書好きということから始まります。
僕は1月に40〜50冊くらい本を読みます。ジャンルも幅広くマンガ、話題のベストセラー、歴史もの、旅行記、京極夏彦の変な超分厚い妖怪本まで。
媒体も紙の本も読みますし、最近は電子書籍が多いですね。僕が読書好きということでBeahouseはブックカバーとか読書グッズが多いのです^^;
またくさんの本を読むため、間違えて以前買った本を何度も買ってしまったり、買っても読まずに放置してしまうことも多々ありました。
そういうミスを無くしたくて読んだ本の書名や著者名をノートの切れ端に書いてしおり代わりに本に挟むようにしていました。
でも所詮ノートの切れ端なので見た目も悪くすぐボロボロになってしまいます。
そこで何か「読書を記録、管理する文房具」を創れないか?と思ったのがきっかけです。
「読書記録しおり ワタシ文庫」は図書室の貸出カード型をしています。
この貸出カード型のデザインというのにも意味があります。
「本にもっとも合うデザインとは何か?」と考えた時に一番最初に思いついた(思い出した)のが図書室の貸出カードでした。
貸出カードは常に本に付属する物として僕らの記憶のなかにあり、多くの人にとって本とセットにしても違和感の無いデザインだからです。
いくらCoolなデザインでも本と関係の無いデザインでは本と共に使ってもらうのはなかなか困難です。
それに「読書記録しおり ワタシ文庫」の目的は「読書」を快適にすることです。読書を邪魔するようなデザインであってはならない。
僕が物をデザインする上で心がけているのが人間の物理的な動きや心の動きにたいして違和感の無い自然に受け入れられるデザインを心がけています。
貸出カードのデザインはまさに本と共に使うには最適なデザインフォーマットだったんです。
そして貸出カード型のデザインにするために貸出カード自体を調べていた時に気づいたことがあります。
僕らが知ってる「貸出カード」は10代後半以上の年齢の人しか使ったことがないという事実!!
そうです、最近の若い子の学校は既にバーコード管理に移行しているのです!
僕らが放課後のあの西陽さす図書室で読んだ本…
本の香り…
手書きの貸出カード…
この本にもあの娘の名前…(ドキドキ的な某ジブリアニメみたいなことは物理的にもう起こりえないのです!!
デジタルと効率化の果てに失われたセンチメンタルなアナログツールは僕ら大人たちだけの思い出になってしまいました…orz
それを知ってしまった時、こりゃいかんだろう!!
この素敵な「記憶」を風化させるのはもったいないと思いました。
そこで「読書記録しおり ワタシ文庫」には2つの「記憶」というコンセプトを込めました。
ー貸出カードの記憶ー
僕らが知っている「記憶の中の貸出カード」を再現しようとしました。
僕らが少年だったあの日見た記憶の中の貸出カードは薄汚れた黄ばんだ紙でした。印刷も滲んで歪んだ印刷です。たぶん色も濃いネイビーとかエンジだった気がします。
セピア色の思い出の中に残る「貸出カード」の記憶。
ー本の記憶ー
「読書記録しおりワタシ文庫」の機能として本のページを記憶し、本のデータを記録します。
そして数十文字の感想を書く項目をつけました。これはその本を読んだ時、その瞬間に何を思ったのか、何を感じたのかを端的に書き込むための項目です。
おそらく小さな文字で書いてもtwitterよりも短い文章しか書けないでしょう。逆に長文は必要ありません。その本を読んで思ったことを素直に、自分の言葉でシンプルに書いてください。
その本から感じ取った本当に素直な気持ちが書き込めるはずです。
そして後で「読書記録しおり ワタシ文庫」の感想欄を読み返した時、その本を読んだ瞬間に自分が感じとった気持ちが本の記憶と共に甦るはずです。
「読書記録しおり ワタシ文庫」は読書を管理し、本の記憶をよびさます鍵でもあるわけです。
デザインとしての「昔見た貸出カードの記憶」、「本の記憶」を呼び醒ます機能。2つの「記憶」が大きなコンセプトです。
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